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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁
駄菓子屋の婆さんの舌は、思いの外滑らかにほぐれます。商売冥利、お客への世辞のつもりだったかもわかりません。
「幾つぐらいに見えるだろう」
「十九そこそこ、ちょうどにはなりませんねえ」
「身分は何だろう。男には眼の届かないところがあるものだ、お前さんが見たら判るだろう」
「それがね、親分、側へ寄ってみたわけでも、声を掛けたわけでもありませんから、判然したことは申上げられませんが、着物の好み、髪形などから見ると、下町の大店のお嬢さんというところじゃございませんか」
「なるほど、――ところで、編笠乞食との間柄は何だろう。兄妹とか、許とか、話しぶりで見当は付かなかったろうか」
「それがネ、親分、こんなに離れていちゃ、聞こうと思っても聞えやしません。裏の井戸端に居る嫁の話し声はよく聞えるんですが――」
姑根性――と言うものでしょう、ガラッ八は危うく吹出すところでした。
「今日も何か食い物を持って来た様子かい」
「ヘエ、竹の皮包にして、お寿もじか何か持って来た様子です。お昼少し前でしたよ」
「確かにそれを食ったろうね」
「娘さんの後ろ姿を伏し拝むようにして喰べてましたよ」
「で、その後で苦しみ始めたんだね」