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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

「放っておいておくれ、――私は物を隠してビクビクしていることなんか大嫌いなんだから」

お松はしかし、そんな手緩い事には牽制されそうもありません。

「私も申し上げて宜しゅうございましょうか、旦那」

番頭の総助は後ろからそっと主人の顔をのぞきました。

「何だい、何か知っていることでもあるのかい」

平次がそれを横合から引取ります。

「他じゃございませんが――石見銀山を戸棚の上に隠してあったことなら、この私も存じております、ヘエー」

「何だ、そんな事か」

主人の源吉、事もなげですが、お松とお越の顔には何やら疑惑の色が浮かびます。

「これから、一人一人に内々で訊きたい。まずお越だけ、お勝手へ来て貰いたいが」

「ハイ」

平次は先に立ってお勝手に入って行きました。続く、お越、ガラッ八。

「さア、少しお白洲めくが、正直に言ってくれ、嘘を吐くと為にならないよ」

「ハイ」

平次は二本灯心の行灯を引寄せて、踏台の上に腰を掛けました。広々としたお勝手は念入りに磨き抜かれて、塵一つない有様、十七年間忠勤を擢んでたという、お越の働き振りが思いやられます。

「お勝手はお前一人か」

「もう一人お富さんという御飯炊きがおりますが、父親が病気で三日ばかり前から葛飾の在所へ帰っております」