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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(七)平次女難

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(七)平次女難(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,696 字 · 310 頁

青空文庫

五

五

丸屋の嫁お雪を殺した下手人は、秋酣になっても見当が付きません。疑えば、夫の源吉も、小姑のお松も、弟の吉三郎も、下女のお越も、番頭の総助も、猿屋町の粉屋のお光も、小唄の師匠のお角も、悉く殺すだけの動機と機会とを持っているわけですが、疑わないとなれば、石見銀山が偶然に味噌汁の中へ落ちたとしても済まないことはありません。

銭形平次も悉く閉口しました。係り同心漆戸忠内は、三輪の万七に、主人妹お松を縛らせましたが、これは本当に奉行所への申し訳だけのことで、一と月経たないうちに、そっと許して帰すより外に手段もない始末だったのです。

「どうした事だ、丸屋の中毒騒ぎは? やはり鼠のせいかな」

与力笹野新三郎は、時折平次にそんな事を言いますが、

「鼠じゃございませんが、あの下手人は、私などより、よっぽど智恵がありますよ」

平次も頭を掻いて引下がる外はなかったのです。

そのうちに、猿屋町の小唄の師匠お角が、大びらに丸屋の源吉に囲われることになりました。女房が死んで百ヶ日も営まないうちに、後添いの話でもあるまいというのと、お角には先の亭主の子で、四つになる幸三郎という倅があるので、いずれ年でも明けたら、幸三郎を里にやって、丸屋の後添いに納まるだろう――というのが、界隈の噂でした。