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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

六

大黒より十六間井より二十八間

小判千六百枚大判二百三十枚

外に――

そんなことが達筆な細字で書き下してあるではありませんか。

「やはりこんなことだったんだね、――お前は清次郎のところへ行って、様子を見張ってくれ。俺はお茂に当ってみる」

平次は後のことを町役人にまかせて、もう一度、振り出しへ戻りました。

六

「親分、私はもう何も知っちゃいませんよ」

平次の顔を見ると、お茂はもう不吉な予感に脅えます。

「気の毒だが、金蔵の死骸が見付かったぜ」

「まア」

「念仏でも称えてやるがいい」

平次はお茂が思いの外平気なのに少し張合い抜けがした様子です。甘やかされ放題に育った箱入娘が、境遇の激変の中に揉み抜かれると、どうかしたはずみで、こんな人格の破産者になるのでしょう。

「でも、気の毒ねえ」

少し芝居じみた調子が、女が美しいだけに平次の胸を悪くさせます。

「金蔵は近頃大金の入る話をしなかったかえ」

「そういえば、行方知れずになる前の晩そんなことを言っていました。――丸屋の身上がちょっと倍になるから二三日のうちに、支度金を持って来てやる。そのうちから、利八に少しやって、うるさくつき纏わないようにしてくれ――とも言いましたよ」