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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

平次の言葉を、当座のがれと見て取ったのでしょう。

「そんな事は言わない方がいい」

「でも、それじゃ安心していられないじゃありませんか。銭箱を覗いたり、へんな事を訊いたりする娘より、もっと気になることがあっちゃ、この店を開けておくわけには行きませんよ」

「よしよし、それほど言うなら教えてやろう、――ツイ今しがた余分の茶代を置いて外へ出て行った若い男があったろう」

「え」

「二十二三のちょっと良い男だ、――町人風には相違ないが、出は武家らしいな。雪駄の金が鳴り過ぎるし、月代が狭いし、腰が少し淋しそうだ、――あの若い男を、お前は怪しいとは思わなかったのか」

「?」

「自分の懐ばかり覗いていたろう、――お前の言い草じゃないが、あれは懐中の銭箱を覗いているんだよ、――多分親の金でも持出したんだろう」

「それだけですか、親分」

「まだあるよ、もう一人ツイ先刻出て行った四十五六の女があったはずだ。身扮もよくなかったが、ひどく物を考えていたぜ――あれは身投げの場所を捜しに両国へやって来たのさ。つかまえて、不心得を意見してやりたいが、いかに十手捕縄を預かっている俺達でも、往来の人をつかまえて『身投げは思い止まるがよい』