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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

お静は姐さん被りの手拭を脱って、濡れた手を拭き拭き一本の手紙を持って来ました。

黙って受取って、ザッと目を通した平次、

「持って来た人は?」

調子がひどく緊張しております。

「お返事は要らないそうです――って帰ってしまいました」

「どんな様子をしていた」

「子供ですよ、十二三の」

「八」

平次が声を掛けるまでもありません。八五郎はもうハネ飛ばされたように路地へ飛び出しておりました。

それからほんの煙草二三服。

「あ、驚いた」

八五郎はがっかりした様子で帰って来たのです。

「首尾よく取逃がしたろう」

と平次。

「逃がしゃしませんが、手紙の作者は小僧じゃありませんぜ」

「当り前だ、手紙を書いたのはお狩場の四郎という、日本一と言われた大泥棒だ」

「えッ、そうと知っていたら、もう少し責めようがあったのに、――そのお狩場の四郎が、親分へどんな事を言って来たんで?」

ガラッ八の八五郎は少しあわてました。二三年前江戸で鳴らしたお狩場の四郎。それは、一度銭形平次に挙げられて、処刑にあがるばかりになったのを、縄抜けをして、それっきり行方知れずになっている、名代の悪者だったのです。

「お前の話を聴いているんじゃないか。