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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

七

武家なんてものは薄情だね」

「お嬢さんのお半さんは」

「何にも言わねえ、お面のような顔をしていましたよ。あの娘は綺麗だが、優しいところのねえ女だ。嬉しそうな顔もしなきゃ、悲しそうな顔もしねエ」

ガラッ八の注沢山な報告を聴きながら、林彦三郎は淋しく引立てられて行きました。

七

それから幾日か経ちました。

「親分、あの一件が、どうも気になってならねえ。どうしたんでしょうね、一体」

ガラッ八は変なことを言い出します。

「道場の一件か」

「エ、川波勝弥殺しに熊吉殺し、あれはやっぱり自首した林彦三郎が下手人でしょうか」

「解らないよ」

「あっしは、あの娘じゃないかと思うんだが、――あの娘が、姉の敵討ちの心算で、川波勝弥を殺し、それを知って強請がましいことを言うんで、熊吉を殺したんじゃありませんか」

「さア」

「林彦三郎は、娘を助けたさに、身に覚えのない罪を背負って名乗って出たんじゃありませんか」

ガラッ八の疑いは尤もでした。が、平次は、

「あの娘に川波は殺せないよ」

まるっきり取り合いません。

「後ろから不意に刺したとしたら?」

「川波勝弥はよっぽど使えたそうだ。一流の達人が、酔っぱらっていたくらいのことで、女子供に一刀で仕留められるものではない――それに」