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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁
二
親分の前だが、女は苦手だね」
「何をつまらねエ、向うでもそう言っているよ、岡っ引は苦手だ――とね」
「へッ、違えねえ」
「ところで、倅の行方はそれっきり知れずか」
平次は少し真面目になりました。
「皆目解らねえ」
「囲いの戸は開いていたのか」
「大一番の海老錠がおりていたそうですよ」
「鍵は?」
「旦那の三郎兵衛が持っていたはずだが、それは表向きで、懲らしめのための窮命だから、鍵はツイ廊下の柱にブラ下げてあるそうですよ」
「その鍵はあるだろうな」
「ないから不思議で」
「なるほどそいつは面白そうだ」
「だから親分を誘い出しに来たんですよ」
「恩に着せる気なら俺は帰るぜ」
「あっ、あやまった。親分、せっかくここまで来たんだから、まずチョイト覗いてやって下さい。若い女が五六人いて銘々良い子になる気だから、そりゃ賑やかな殺しですよ」
「賑やかな殺し――てえ奴があるかい」
そんな事を言いながら、平次は八五郎の導くままに、奈良屋三郎兵衛の豪勢な店先に立っておりました。
二
奈良屋三郎兵衛は五十五六、江戸の大町人で、苗字帯刀を許されているというにしては、好々爺という感じのする仁体でした。
「銭形の親分か、御苦労様」