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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

フト探索に盲点のあったことに気が付いたのです。

「もう一人?」

「ウン」

「誰で――」

「忘れているんだよ。あんまり人殺しと縁のないような人間だから。それ、まだ番頭の佐助というものがあるだろう」

「いけませんよ、親分。ありゃ算盤の化物で」

「でも人間には相違あるまい」

「人間の干物ですよ、六十三だそうで。――あっしも、もう三十何年経つと、あんなになるかと思うとこの世が情けなくなりますよ」

「いや、あの番頭なら、梅吉の悪事を知っているし、若旦那の幾太郎を手塩にかけて育てている。――それに、お桃が聴いたという、ゆうべの身代りの相談だって、どこかで聴いていたかも知れない」

「でも」

「間違いはないよ、八。お桃は一応下手人のようだが、幾太郎の事をあんなに思い詰めて、一生懸命幾太郎を庇おうとしている娘だ、――あの通り賢すぎる娘が、幾太郎のいる囲いの中で梅吉を殺すはずはない」

平次の推理はしだいに不思議な方へ発展して行きます。

「佐助だって同じことでしょう。若旦那に疑いのかかる場所で殺すはずはないじゃありませんか」

ガラッ八の反弁も尤もでした。

「待て、佐助が店から出て、裏の方に行くじゃないか」