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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,130 字 · 288 頁

青空文庫

二

「どりゃ、その綺麗なニセ首でも拝んで来ようか」

平次もとうとう御輿をあげる気になりました。

二

平次とガラッ八が、小日向台の大坪家へ行ったのは、山の手の町々が、青葉の香にムセ返るような、四月の美しい日盛り。

「小峰さんは居なさるかい。銭形の親分をつれて来たが――」

お勝手口から、心得顔に入るガラッ八の顔へ、

「あ、八五郎か、大変なことになったよ。まア入ってくれ」

当の小峰右内は、せっかちらしい言葉を叩き付けるのです。

「どうしました、小峰さん」

「どうもこうもないよ、まず見てくれ」

平次とガラッ八は、不安と焦躁に眼ばかり光らせている雇人の中をお勝手から納戸へ、奥の方へと通う廊下を導かれます。

「これだ」

とある部屋の障子を開けると、中には五十年輩の女が一人、不自然な恰好で、床の上にこと切れているのです。

「婆やさんじゃありませんか」

とガラッ八。

「けさ殺されていたんだよ。下女が見付けて大騒ぎになり、ともかくも首に巻き付けた細紐だけを外して、一応介抱してみたが、もう冷たくなっているんだ。息を吹き返す道理はない。婆やの倅が品川にいるはずだから、大急ぎで人をやったが、まだ来ないよ」