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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

けれど連載を初めた初期に、ぼくは「この小説はどこから読まれてもさしつかえない」といったことがあるし、また「ある章からある章までを抜き読みしてもよいものに」と筆間茶話で書いたこともある。そのままなことばを新しい読者へも繰返して告げたいとおもう。

小説を書く側ばかりでなく、小説の読者側にも日本では何か一定した小さな“小説様式”の型がきまっているように思う。主人公があって、その主人公と傍系人物とが起伏する発端から終尾までのテーマがすなわち小説であるというような先入主である。これがいちばん小説らしいには違いないが、もともと、小説にそんな固着した方程式などはない。ないから私小説も生じ、“創作”ともよばれるのであろう。殊に古典の大作は天衣無縫でなんらの規矩に囚われているふうがない。中華の雄大な古典など特にそうだとおもう。かりに現代の作家群を市井の散歩者と見るならば、古典の作家たちは、限りない地上の旅人だったともいえようか。そのどっちにも特徴はあり、優劣を問うのではない。ただ小公園的な人生探究ばかりでなく、古典のもったような眼をかりて大きな人生の曠野や時の流れを観ること――また読者に観せることも――小説という仕事の上にあってよいし、また求められるところの一課題であろうとぼくは信じるのである。