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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
べつに木村氏の来訪に限ってそうだったわけではない。つまりどんな過去を書こうとする小説でも、本質的には、現代から抜け出られないということをぼくはいってみたかったのだ。
将棋はヘタくそなぼくが、将棋を例に取ってもぴんとこないことは承知しているが、たとえば、ここ数回の――寿永四年二月前後――の源平のありかたを棋面と見ていってみるならば、ちょうど一ノ谷の中盤戦から、終盤の序のサシ口へかかった形ではあるまいか。といえば、読者にも分かりやすいことと思う。
屋島は、要するに平家の「玉」囲イといっていい。玉将はいうまでもなく安徳帝である。一ノ谷で前線を破られた形だが、屋島の玉囲イは入念を極めた。宗盛以下の金銀桂香までがかためており、べつに、角将の平ノ知盛は、遠く関門海峡の彦島に拠っていた。そしてここでは、源氏の三河守範頼(蒲冠者)の深入りを捉えて、去年以来、平家方が圧勝していた。サシこめばサシこむほど、遠征の源氏勢は、自律を失い、コマを取られ、総敗北のほかなかった。
源氏側の“王さま”は、もちろん鎌倉の頼朝である。この“王さま”は序盤からちっともその位置がうごいていない。