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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
そして古典のよさは、霧散される。そのよさを味わうには、註釈を頼っても、古典そのものに就くしかないのである。で私は、大原御幸の事実のみをとって、私なりの見方と小説構想とを恣にした。といっても、この回ではまだ、読者の批判に供えるまでにいたっていないが、麻鳥や、義経の影や、伏線的テーマと共に、次回ではもっと大胆にそれを書いてみるつもりである。
きょう辺り出版局の人が、単行二十二巻の見本を持って、東京から来るかもしれない。一巻を重ねるごとにわれながら意外に長くなったものと思う。あれは何年の正月だったか、高田保氏の病窓を大磯に見舞ったとき、保ちゃんが病床から「新・平家は、何年ぐらいの予定?」と訊くので、およそに答えたら、突如、病人がその頬を紅くして「それっぱし書いたって君、あれがまとまるもンか。どうしたって六、七年は書かなければだめだよ君。……ねえ、少なくとも五、六年は腰をすえなけれやア」と、そばにいた人にまで同意を求めてぼくを鞭撻した。彼はその春逝ってしまった。一巻を加えるたび、彼のそのおりの言を思い出さずにいられない。「どうだ、ぼくの予見はあたったろう」