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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

――この朝臣の三車が道を別れて帰るところから、二条天皇と後白河上皇との、父子の御不和と――そしてかつて前例にもない天皇の恋が、やがてその年の都の秋を驚かせたのでありました。(二六・六・三)

*

平安朝の末期、約八百年前、清盛が二十歳の保延三年を、第一回とし、この篇までに大体、以後二十四年間の世の変遷と、人の生き方、変り方を、書いてきました。

ざっと、前半を概観して見ますと、何世紀もつづいた藤原氏の貴族政治も、保元、平治の二乱に支配力を失って、代りに、地下人武士の擡頭が、世の著しい変化でした。

従来、都には、武門といっても、源系と平系との二氏がその職部門に同棲していたのですが、源ノ為義、義朝父子など、みな去就を過って、平治合戦以後は、洛中、平家一色となってしまったのです。

といっても“驕る平家”とか“一門栄花”とかいわれた春が、一ぺんに六波羅へ来たわけではありません。この回の現在、清盛は四十四歳、職位は権中納言参議、かの常磐との艶聞があったりして、男盛りではありますが、まだまだ太政入道の世盛りには間があります。

むしろ、清盛の頭上には、清盛以上にも、政略奇謀を好み給う後白河上皇がおいでになるのを、時人もみのがしておりません。