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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

それだけは絶対な自信をもって書いている。(二六・九・二)

*

清盛の夢はようやく、経ヶ島の築港、厳島の造営、日宋貿易の誘致など、夢ならぬ現実を見て――承安三年、入道相国の五十六歳には――月ノ御所、西八条など、平家一門が軒をならべる所――花らんまん、まさに史にいうところの平家全盛時代は今と見えました。

平家にこころよからぬ後白河法皇も、当分、施す策もありません。法皇対清盛の相互のかけひき、牽制や利用や迎合のしくらべが、ついに何を孕むかは、まだ宿題です。

それに依然として、院の近衆たちの間、また反平家的な公卿たちの間には、ややもすれば“打倒平家”のうごきもある。しかし、院を背景とする薄暗い底流窟に、いったいどんな怪魚が寄って、何を囁き合っているか、これもまだ表面のものではない。

かくて地表の万象は、すべて平家のために咲いている華かの如く平和です。けれど大きな流転の輪が巡っていないわけではありません。つぶさに観ると、次の萌芽は刻々と、東方の野に兆し初めている。たとえば伊豆にある頼朝の成人です。また同じ伊豆へことし配流された僧文覚です。――さらにここにまた鞍馬の遮那王(牛若)が、じっとしていられない年ごろにもなって来ました。