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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
おかしなわけだ。みな情に富み、教養の高い、才媛ぞろいの家庭の父が、極悪無慈悲な入道殿であったとは、うけとり難い。
女性は武門の勝敗にかかわりがない。女性は戦犯者にはいらない。また、女は、他の家系へ嫁いでいる。――そこで、勝者の下に書かれた鎌倉期の物語や史書の執筆者も、清盛なみに、彼女たちまでを、筆誅する理由を見出し得なかったのであろう。むしろ清盛を意識的にやっつけた罪ほろぼしの気持の幾分を、むすめたちの方へ頒けて、すこし過賞に傾いた気味がないでもない。
けれど、とにかく、画技なども、女性の教養の一つであったとすれば、家の氏神への納経に、彼女たちも、思い思いに、絵具を溶き、金泥をこころみ、切箔や砂子撒きなどにも手を出して、草花の描き入れや、土坡の染めなどに、筆をとったと見ても、そう間違いはないだろう。父の清盛ものぞきに来たろうし、母の時子も、立ち交じっていたにちがいない。そういう家庭の様を想像してみると、なんとそれは、平家納経のトビラ絵そのままな美しい団欒の家垣ではあるまいか。そしてこういう“美に徹した家庭”が、中世期の興亡欧羅巴にも中国の王侯たちにもあったろうか。