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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
が、これは元就が、第五列を用いて、わざと敵をおびき寄せた計にかかったもので、元就は機をつかむと、山口から風浪を冒して、鼓ヶ浦につき、山づたいに、数千の兵を、陶軍のうしろに迂回させ、捕捉殲滅の作戦に出た。
ここを他日、もっとよく調べてみたい。今、厳島合戦記について、精査しているいとまがないのを遺憾とする。――が、厳島に住み、厳島研究に造詣のふかい田島権宮司から聞き得たところである。
――両軍にとっては、まさに、全運命を賭した一戦であった。
にもかかわらず、前述のような“不戦地域協約”が両軍のあいだに、尊重されていたということに、現代人のぼくは驚いたのである。――聞きもらしたが、もし神社の社記でも残っていれば、もっと驚きを大きくしたろう。――田島氏の話では、激戦また激戦のうちに、兵火が過って、神社附近へ飛び火したり、延焼してくると、一時、両軍は合戦をやめて、その消火に努め合ったということである。
あり得ない例ではない。
泉州堺ノ合戦にも、同じようなことはあった。
一五二六年(大永六年)のクリスマスには、堺市の内外で長年、対戦中の三好党と松永党の両軍が、まる二日間、休戦を約した。