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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
「これやあ、何か、事故が起こったんですな、引っ返してみましょう」衆説は、そこにきまり、約三マイル以上も、あと戻りを余儀なくされた。
ところが、大寺から若松市へ帰る途中には、八田という部落で、道が二つに分かれている。いろいろ訊き合せてみると、その八田から、あと組は、ぼくらとべつなコースへ曲がってしまったものらしい。
「……としたら、こっちは、狐につままれたようなばかな目をみたわけだ」と、にわかに思い直して、昼、昼食した東山の向滝に帰ってみると、面々とうに御先着、温泉にひたって、至極のんびりしたものである。
おまけに、電源地若松だが、夜はまっ暗だ。かぼそい蓄電池燈とロウソク明り。さてその明りを頼りに、お膳が並んだところで、あと組を皆してやっつける。けれど、先様は先様で、ひとかどの理由を並べ「こっちこそ、追っかけても見えないので、先の組が、へんな方向へ突っ走ったのじゃないかと、心配した程だ」と強硬である。結局、渇水停電とおなじで、おてんとう様のせいであり、双方、文句のつけどころがなく、不起訴と落ちつく。
電気はつかず、湯の音、渓流の音だけを友に、ぼくらの部屋も、談笑ようやくわいて来たが、ほかの部屋では、絃歌が聞える。