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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
とすると、会下山は絶好な地点である。
いまは木もない禿げ山だが、当時はどうであったろうか。
市史を見ると、明治初年ころの記載に「松林、東西二四〇間、南北一二三間」とあり、前からこんな不きりょうな山ではなかったことがわかる。松、桜、つつじの名所であったという。
また、古くは近傍に寺院もあり、民家の集落もあったとみえ、軍の主力を隠すには恰好であったろう。教経や盛俊の平軍の将が、この天然な地を見遁しているはずはない。源氏の人々以上、彼らはここの地理に精通してもいるのである。
会下山を中心とする平軍と義経軍とが衝突した戦闘地域が分かれば、自然、義経の向かって来た通路も明らかになるわけである。
平軍の教経は敗れて海上へ逃げたが、同陣の盛俊だの通盛などは、名倉池や東尻池の附近でみな戦死している。刈藻川の上流で、まさに会下山と鵯越えの中間といってよい。教経の弟業盛が戦死した所も、会下山から遠くではない。
つまり義経勢が南下して来た道は、現在の鵯越え遊園墓地から、明泉寺、長田を駆け下り、妙法寺川に沿って、戦い戦い、輪田岬の西方の海浜、すなわち駒ヶ林附近へ出てきたものであったろう。