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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁
文芸に制約などは何もないし、歴史必ずしもすべて真実ではない。たれかがまた構成の骨格と、基調もちがったゆきかたで、寿永二年七月二十四日の「平家二十四時」なり、一門の一人なりを主題に捉えて書いたらおもしろい作品になるのではあるまいか。たとえば渦中の池ノ頼盛など、到底、この中では書き尽せない複雑さをもっていたし、当夜、夜逃げされた後白河法皇なども、優に独立したべつの一長篇小説で主人公として書かれるのになんら不足のない御性格の持ち主だったことをこの時の行動がよく立証していると思う。こういう際どい離れ業もできてしかも政治才能に富んでいた皇室人は歴代のなかでもじつにめずらしい。(二八・一二・六)
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歳末を市中に暮らし、原稿も暮れの騒音のなかで書き続けた。疎開帰りの、九年ぶりのこんな生活である。元の古巣へ帰った懐かしみは多いが、雑忙、訪客もすべて旧に復し、またむかしの不摂生にもどりかけている。自分の旧作に、「汝れもまた夜明かし癖か冬の蠅」とか「木枯らしや夜半の中なるわが机」とか、夜半の句が幾つもあるが、それをまたこの年暮には幾晩も味わった。けれど、近年はガス暖炉も自由に使えるので、かつての戦争中のような「炭とりの底掻きさぐる寒さかな」