輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

線上閱讀徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 頁

青空文庫

甲走ったその声が、彼の脳天までぴんと響いた、作は主人の兄にあたるやくざ者と、どこのものともしれぬ旅芸人の女との間にできた子供であった。彼の父親は賭博や女に身上を入揚げて、その頃から弟の厄介ものであったが、或時身寄を頼って、上州の方へ稼ぎに行っていたおりにその女に引かかって、それから乞食のように零落れて、間もなくまた二人でこの町へ復って来た。その時身重であったその女が、作を産おとしてから程なく、子供を弟の家に置去に、どこともなく旅へ出て行った。男が病気で死んだと云う報知が、木更津の方から来たのは、それから二三年も経ってからであった。

お島はおとらが、その頃のことを何かのおりには作に言聞かせているのを善く聞いた。おとらは兄夫婦が、汽車にも得乗らず、夏の暑い日と、野原の荒い風に焼けやつれた黝い顔をして、疲れきった足を引きずりながら這込んで来た光景を、口癖のように作に語って聞かせた。少しでも怠けたり、ずるけたりするとそれを持出した。

「あの衆と一緒だったら、お前だって今頃は乞食でもしていたろうよ。それでも生みの親が恋しいと思うなら、いつだって行くがいい」

作は親のことを言出されると、時々ぽろぽろ涙を流していたものだが、終にはえへへと笑って聞いていた。