輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁
残星容易に薄れず、氷に囲まれた小潭で顔を洗う。六時すぎ、窓からうかがう赤石に、見る見る蒼味がとれて、ほんのり紅梅色が匂い出す。空は陰りを拭って、浅葱色が冴えてくる。霜が岩石にも、離々たる枯草にも、厚く置き、満山の落木の梢は、樹氷の化粧がきらびやかにほどこされている。
痛いまでにすがすがしい朝の景物に囲まれて、心が新しい弾力をおびる。七時頃には仕事の位置に出かける。道は固く凍てついてすべる。風まったくやみ、空色寒藍に澄んで、まだほとんど陽をうけぬ所ノ沢の空高く、赤石の大岳が雪を輝かせて、堅くどっしりと坐っている。赤石沢の奥、百間平から、長い尾根を絶頂の南角まで引き上げ、少し力を撓めて、小赤石から北稜を、間近かの尾根に切って落し、ぐっとのけぞるように、山の広い南東面を展張している。圏谷に輝く北沢をはじめ、谷も尾根も見る限り、ほとんど赤石沢の領に属する。雪は谷では二千メートル、尾根では二千三、四百メートルあたりを境にして、まず七分の山体を厳飾する。南面ではそう厚くはないけれど、東面ことに絶頂と小赤石間の圏谷の上下などは、いかにもふっくりと厚味がある。それがいっぱいに陽をうけて、暗い所ノ沢の景物と、底しれず澄み切った大空とに挾まれるところ、強い調子の対照を作り出す。