輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
線上閱讀中村 清太郎《ある偃松の独白(あるはいまつのどくはく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 132,905 字 · 262 頁
まるで怒ってでもいるのかと思うばかり。俺は、彼の気魄が、ひしひしと身に迫るのを覚えて、息を呑んだ。だがそもそも何が、彼の心をひきつけたものだろう。
この俺はと言えば、大きな花崗岩によりかかって、骨ばった身を宙にささえ、頭の上に広やかな雪田を負っている、一箇の年老いた偃松にすぎないのだ。この雪田は、土地の人間が「万年雪」とよぶもので、断崖の根にそって半月形をなし、秋も間近い今では、さりげない残雪に見えるけれど、春先きなどは、そのあたりこそ、恐るべき雪崩を起す源にほかならない。俺が今日まで、ここでどうにか暮してこられたのは、一つは、お隣りの大岩さんのお蔭と言ってもいい。
こうした俺のささやかな存在が、かりにも人間の心を動かそうなどとは、ついぞ思っても見なかった。――まったく長生きはしたいものだナ。とはいえ、俺はどうにも、面はゆくて弱った。何しろ肖像を描かれるなんぞ、この齢になっても、まったく初めての経験なのだから……。それにしてもあの男に、この俺の、幸運ではあるが、又苦難の多い生涯の事まで、果して察しがつくだろうか。
俺は周囲の岩さんたちや、向うの年若な偃松仲間や、美しい黄花石南花の連中と、たがいに顔を見合わせた。