輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

線上閱讀太宰 治《パンドラの匣(パンドラのはこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,644 字 · 386 頁

青空文庫

いっそこうなれば「桜の園」のロパーヒンでもやろうか。いや、それくらいなら、ファウストがいい。あの台詞は、鴎座の試験の、とっさの場合に僕が直感で見つけたものだ。記念すべき台詞だ。きっと僕の宿命に、何か、つながりのあるものに相違ない。ファウストにきめてしまえ! という事になったのである。このファウストのために失敗したって僕には悔いがない。誰はばかるところなく読み上げた。読みながら、とても涼しい気持がした。大丈夫、大丈夫、誰かが背後でそう言っているような気もした。

人生は彩られた影の上にある! と読み終って思わずにっこり笑ってしまった。なんだか、嬉しかったのである。試験なんて、もう、どうだっていいというような気がして来た。

「御苦労さまです。」国十郎氏は、ちょっと頭をさげて、「もう一つ、こちらからのお願い。」

「はあ。」

「ただいま向うでお書きになった答案を、ここで読みあげて下さい。」

「答案? これですか?」僕はどぎまぎした。

「ええ。」笑っている。

これには、ちょっと閉口だった。でも春秋座の人たちも、なかなか頭がいいと思った。これなら、あとで答案をいちいち調べる手数もはぶけるし、時間の経済にもなるし、くだらない事を書いてあった場合には朗読も、しどろもどろになって、その文章の欠点も、いよいよハッキリして来るであろうし