輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁
恒景、教えられた如くすれば、果たしてその年、疫病諸村に充ち、家畜鶏犬までもみな斃れ、ひとり恒景の家のみ難なく寿を全うしたという。――わが朝でも、平安の頃よりは、禁裡殿上といわず、四民の家々でも、菊を見て心を楽しませ、菊酒を酌んで体を養う。またこの日、高きに登れば、幸いありといい慣わしておる。……謙信いま、求めずして、妻女山の地に在り、しかも一日の寿、なお天日に恵まれ、かくの如く健。楽しむべきではないか。祝わずしてどうしよう」
謙信はよく語った。
またよく杯を啣んだ。
努めて、諸将の神心を、長陣の鬱気を、散ぜんとするもののように。
菊を見ながら、諸将もみなよく杯を挙げた。歓語は沸き、鬱気は飛んだ。だが――しかもなおどこやらに、去りやらぬ一抹の愁いがともすれば沈みかけるのは、どうしようもないことだった。
「殿っ……。愚存を申しのべたく思いますが、おゆるし給わりましょうや」
ついに、怺えかねたものの如く、直江大和守が口をきった。よくぞ、いい出してくれたといいたげに、右側の長尾遠江守は、眼の隅から大和守を励ました。そして斉しく、残らずの者の眼が、謙信の面へあつめられていた。