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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
線上閱讀牧 逸馬《世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 頁
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そう判ると、田舎の人は気立てが好い。家じゅう親切の競争みたいになってさあさあと手を取らんばかりに食堂へ案内する。丁度晩飯が出ているところだから、早速食卓へ椅子を引いて、腸詰、野菜、麺※、この辺、農家で自醸する名物の林檎酒を大コップに、ありったけの御馳走をならべる。口ぐちに奨める。根が単純な人たちだ。そこへ、天から降ったような、文字どおりのこの遠客だ。大層な歓待振りである。
ところが、女は、その折角の食べものには手をつけずに、ただ黙ってにこにこ笑って、のべつにお低頭しているだけだ。一同の機嫌を損ねまいとして、一生懸命のように見える。ホルトン家の人々は一そう気の毒に感じ出して、何うしたらこの頼りなさそうな異国の女旅人を慰めることが出来るかと、家を挙げての騒ぎである。そのうちに女は、ホルトンのおかみさんに、手真似で、食べ物が違うから自分で料理したいのだが許して貰えまいか――そういう意味を伝えた。承知すると、早速台所へ起って行って、一種独特のやり方で米を煮る。それに牛乳をかけて食べるのだ。それだけの食事である。済むと、流しへ行って、儀式のように厳粛に、水差しの水を交るがわる両手に掛ける。