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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

線上閱讀牧 逸馬《世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 頁

青空文庫

のモウパア警部の許へ向けてやった。

「十四号室の鍵は、あれから警察で預かっているんです。誰もあの部屋へ這入ってはならないことになっていますから、第一に、係りの警部さんのお許しを得なければなりません」

女将は、ガリバルジを伴れて警察へ出頭する。

リカルド・ガリバルジ――哲学者と熱血将軍を一緒にした、兎に角、非道く英雄的な名前である。この姓名で安心した訳ではないが、警察で大議論やら大懇願の末、とうとう、そんなに言うなら、まあ、やってみなさいということになった。が、人の恐れる自殺室へ単身踏み込むのだから、モウパア警部も心配でならない。只では許せないとあって、前もって色いろ要心を採る。先ず苦笑している勇士ガリバルジ君を、御丁寧に医師に健康診断させた。かかることを思いつき、且つ執拗に主張するだけに、既に幾分精神に異常を呈しているのではないか何うか、妖怪などという比較的強烈な刺戟に耐え得る精神的、並びに肉体的健康の所有者なりや否や、些少の動揺にも死を想うほど、霊界の誘惑に弱き、換言すれば、自殺の懼れある性格なのではないか如何――などというのだが、医者はこのすべてを否定して、ガリバルジ青年は、稀に見る健康者であり、その上充分信頼していい腕力家だと証言した。