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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

線上閱讀海野 十三《四次元漂流(よじげんひょうりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 頁

青空文庫

カーテンを引けばこの部屋は暗黒になる。君はそのままじっと椅子に腰をかけていればいいのだ。なにごとも予期してはいけない。しかしなにごとかが起ったら君はおどろかずさわがず、つとめて心を平静に保って、向き合っていればよい。君から決して自分から働きかけては駄目だ。相手が何かいったら、それにこたえればいいのだ」

「相手というと誰ですか。あなたですか」

「いや、なにごとも予期してはいけないのだ……そしてもういい頃になったら、僕がもういいというからね、それまでは君は椅子から立上ってはいけないよ。分ったね」

「分りました。でも、いや、やりましょう」

道夫ははらをきめて、この怪紳士のいうことをきくことにした。今いやだといってみたところで、この怪紳士は道夫をゆるしてはなしてはくれないだろう。一見やさしそうに見えて、その実この怪紳士は一から十まで道夫の行動をしばっているのだ。この怪紳士の手からぬけだすのは容易なことでないと分った。

カーテンは、明るい窓に引かれ、室内はまったくの暗闇と化した。聞えるのは怪紳士の靴がかすかに床をする音ばかりであった。

道夫は、机の向うの空席の椅子に、かの怪紳士が腰をかけるのだろうと予期していた。