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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁
そうして自分の出番頃までに帰ってきた。
「時計屋なんや彼奴は」
ある晩、顔中へかいた汗の玉をひとつひとつ暗いランプの灯に浮かせて海老団治がこう言った。
「毎日毎日ああやって出てゆくのは、そこらを時計の修繕はア……言うて流して歩いているのや。ほて、暮れ方まで稼いでくるのや。なんでも、もうえらい金溜めてるということやで」
「ウーム負けた。俺にゃとてもあの連中とはお交いが……」
つくづく今松は兜をぬいだ。
あのお艶ちゃんの悪口を言やがった雷蔵はじめ、ずいぶん東京の落語家にもいやな奴悪い奴は多いけれど、それはあくまでいやな奴悪い奴というだけで、こうしたお金にこだわってばかりいる人たちはほとんどない。
それが大阪の人たちはどうだろう。
この紋兵衛といい団丸といい麦松といい、前にいった歌団治といい、助丸といい、夢更悪い人たちではないけれど、お金のことだけには変に悪賢く、五分も透かさない。
要はこうしたお国風なのだ。
江戸と上方との相違なのだ。
それにしてもかりにも「芸」に身を投じようとする人たちのなかに、こうした了見の人たちばかりいることが、なんとも不思議に考えられてならなかった。