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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁

青空文庫

それは、まだまだまだ永い永いこののちの人生へ、しびれを切らせないための修業だったろう。音を上げさせないための修業だったろう。

うれしいことに今松は、その神の試練の手品の種明かしを、チャーンと見抜いていて心得ていた。

だから、東京へ帰ったまんま、普通以上に用いられなくても、決して焦らず、なんの不平も言わなかった。

芸第一とあくまで一生懸命つとめていた。

昔とちがって師匠の心持ちもよく飲み込め、従って師匠のほうも心やすげに交わってくれる。そのことだけで、ただもうわけもなく満足しきっていた。

来い。

いくらでも来い、苦労の奴め。

俺、その苦労の家元って奴と心やすくなって、盆暮にゃお付け届けをしてやるから。

こんなふうにジーッと歯をくいしばってはニコニコしていた。そうして、一年。

とうとう出世の神様のほうで根負けがしてしまったのだろう、翌年の正月の末。

「オイ今松の、今日左楽からすすめられた。真打になれお前、この四月に。雷門小助六を名乗るんだ」

師匠の助六が言い出した。

初看板

一

三月の半ばに下谷伊予紋で披露目をして今松は、雷門小助六と改名した。

四月、あの焼鳥の思い出深い上野の鈴本で披露をした。