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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁
とか、世話めいたものばかり借り出してきた。
そうして、それをいい加減にでっち直しては、御披露に及んだ。
泣かせるところや、物凄いところは、せいぜい歌うような調子で朗読的にやってのけ、お手のものの笑わせるところだけ、克明に、念を入れてしゃべった。
笑うところの少しもない噺には、特別にそうした人物をこしらえて、それを活躍させることもおぼえた。
おかげでだんだん今松は、自分で自分の芸を工夫することがきるようになってきた。
そのころ、捷報また捷報の続いていたさしもの日露戦争の講和条約が結ばれた。
「日本勝ったい」
「露西亜負けたい」
万歳万歳の声はこの狭小な湯治場にも満ち溢れ、青い青い小春の海近く、そこでもここでもハタハタ日の丸の旗は音立ててひるがえった。
ドカーンと昼花火が打ち上げられ、達磨や犬張子や軽気球が海へ落ちて、浪の間に間に沖へ運ばれていった。
この大勝利、かねてから知るところとはいえ、今こうしてほんとうに講和条約が結ばれてみると、ほんの民草のはしくれに過ぎない今松までが肩の重荷を下ろしたようで、ホッとされることはしかたがなかった。
長い長い大借金を返しつくしたときのような、なんとも嬉しい気持ちがした。