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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《大岡越前の独立(おおおかえちぜんのどくりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,968 字 · 24 頁
八
三五郎は、証拠品として、菅笠を、それから、人々からの聴取書を持って、江戸へ引返してきた。
八
数寄屋橋の唐金の擬宝珠は、通行人の手ずれで、赭く光っていた。南町奉行所へ、対面についての心得をききに、天一坊が通るというので、人々は、橋だもとに集って、河を眺めたり、焼餅を食べたり、大道卦占師の口上を聞いたり、隣の人と話を交えたりしていた。
「下婢をつまむのは、こちとらだけだと思っていたら、何うでえ――」
「何んしろ、暇だからのう、下々様のように何処、此処と、のたくり、ほっつける訳じゃあなしさ――今だって、七人か、八人かの御子様だろう。それが、四腹か、五腹さ。その上に、今度あ、恐れ乍ら、御願い申上げ奉ります牛の骨、馬の骨と来らあ。どうでえ、手前できのいい女郎に、子供を生ませて――とこう眺めていると、鼻は獅子鼻、歯は乱杭、親の因果が、子に報いって面だなあ」
「へん、俺に似なくっても、あいつに似りゃ天神様みたいな伜だ」
「と、知らぬは亭主ばかりなりっての」
「叱ッ、手先が混ってやあがる」
と、一人は、周章て、袖を引いた。
「何処に?」
「そら、身なりを変えて」
「彼奴かい、あはははは、うっかり、将軍助平などといおう物なら、来た来た、うまく化けてやがらあ、商売々々だ」