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おおおかえちぜんのどくりつ

大岡越前の独立

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《大岡越前の独立(おおおかえちぜんのどくりつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,968 字 · 24 頁

青空文庫

四

少くも、伊賀亮には、越前のそうした態度がよく判っていた。

だが、越前が、皆の顔色を見ているから、表情を変えぬようにとはいえなかったし、中座して、それを一同に伝えて、越前守の眼を警戒させるには、既に遅くなりすぎていた。天一坊が、真正の落胤であるという事に、疑いの無い以上、そういう問答によって、顔色を変える必要は無かったが、人々は――天一坊も、附人も、越前を名判官であると信じ、その証拠物の調べにより、この問答の巧拙により、もしかしたなら、何が何う成るか、判らぬと考えていただけに、伊賀亮との一問一答には、汗を出したのであった。

「ふむ」

と、大膳は、かちかち音立てて噛んでいた干栗を、頬の中へ仕舞いながら

「成程――」

「余を贋者にしようというのか」

と、天一坊は、口早に、額を蒼白くしながら、叫んだ。伊賀亮は、俯いたまま、首を振って

「そうでもない」

「そうでも無いと?――」

伊賀は黙っていた。一座の人々は、不安な空気に圧迫されて、いろいろな幻想を、急速に廻転させながら、伊賀の広い額をじっと凝視めていた。

四

淡彩で、雁を描いた老中の溜りの間にいた信祝は、越前が登城したと聞くと