輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

――ふとその時、彼の片方の足を見ると、足の甲を布で縛っていた。歩むには少し跛行をひいている形である。

足の裏の傷が膿んでいるのだった。それゆえにきょうは馬の背を借りて歩いているものとみえる。

彼は今、自分の体というものに対して、日々、細心ないたわりを施していた。そうした注意を抱いていたに関わらず、鳴海港の混雑の中で、釘の立ッている荷箱の板を踏みつけてしまったのである。昨日から傷に熱を持って、足の甲は樽柿のように地腫れがしていた。

(これは、不可抗力な敵だろうか?)

武蔵は、釘に対しても、勝敗を考えるのだった。――釘といえども兵法者として、こういう不覚をうけたことを恥辱に思うのだった。

(釘は明らかに、上を向いて落ちていたのだ。それを踏みつけたのは、自分の眼が、虚であって、心が常に全身に行き届いていない証拠だ。――また、足の裏へ突きとおるまで踏んでしまったことは、五体に早速の自由を欠いていたからで、ほんとの無碍自在な体ならば、草鞋の裏に釘の先が触れた瞬間に、体は自らそれを察知しているはずである)

自問自答にこの結論を下して、

(こんなことでは)

と、自己の未熟が反省され、剣と体とがまだまだ一致しない――腕ばかりが伸びてほかの体や精神は合致しない――一種の不具を感じて忌々しくなるのだった。