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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 頁

青空文庫

武蔵は耐えかねて、叔母をよび、早々、暇を告げようとすると、

「そこにいるのか」

要人は、そこを開けて、閾ごしに眉をひそめた。畳の上へ牛の草鞋でも上げたように、穢い田舎者と、見ている眼だった。

「おまえ、なにしに来た」

「ついでがありましたゆえ、ご機嫌をうかがいに出ました」

「うそをいいなさい」

「え?」

「うそをいっても、こちらには、分っている。おまえは、郷里を荒らし抜いて、多くの人に恨みをうけ、家名にも、泥をぬって、逐電している身じゃろうが」

「…………」

「どの面下げて、親類などへ、のめのめと」

「恐れ入りました、今に、祖先へも郷土へも、詫びをするつもりではおりますなれど」

「……なれど、今さら、国許へも帰れぬのであろうが、悪因悪果というもの、無二斎どのも、地下で泣いておろうわい」

「……長座いたしました。叔母御、お暇いたします」

「待たぬか、これ」

要人は、叱って、

「この辺をうろうろしていると、おまえは飛んでもない目に遭うぞ。なぜなれば、あの本位田家の隠居――お杉とやらいう肯かぬ気の婆どのが――半年ほど前に一度見え、また、先頃からも度々やって来て、わしら夫婦へ、武蔵の居どころを教えろの、武蔵が訪ねて来たろうのと、恐ろしい権まくで坐りこむのじゃ」