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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁
すでにしてようやく身をベッドの上に安んじ、目を閉じぬ。
朝静かにして、耳わずらわす響もなし。鶏鳴き、ふなうた遠く聞こゆ。
武男は目を開いて笑み、また目を閉じて思いぬ。
*
武男が黄海に負傷して、ここ佐世保の病院に身を託せしより、すでに一月余り過ぎんとす。
かの時、砲台の真中に破裂せし敵の大榴弾の乱れ飛ぶにうたれて、尻居にどうと倒れつつはげしき苦痛に一時われを失いしが、苦痛のはなはだしかりしわりに、脚部の傷は二か所とも幸いに骨を避けて、その他はちとの火傷を受けたるのみ。分隊長は骸も留めず、同僚は戦死し、部下の砲員無事なるはまれなりしがなかに、不思議の命をとりとめて、この海軍病院に送られつ。最初はさすがに熱もはげしく上りて、ベッドの上のうわ言にも手を戟にして敵艦をののしり分隊長と叫びては医員を驚かししが、もとより血気盛んなる若者の、傷もさまで重きにあらず、時候も秋涼に向かえるおりから、熱は次第に下り、経過よく、膿腫の患もなくて、すでに一月あまり過ぎし今日このごろは、なお幾分の痛みをば覚ゆれど、ともすれば石炭酸の臭の満ちたる室をぬけ出でて秋晴の庭におりんとしては軍医の小言をくうまでになりつ。