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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

線上閱讀徳冨 蘆花《小説 不如帰(しょうせつ ほととぎす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,742 字 · 256 頁

青空文庫

時勢が時勢で、良人は滅多に宅にいませず、舅姑に良人の姉妹が二人=これはあとで縁づきましたが=ありまして、まあ主人を五人もったわけでして、それは人の知らぬ心配もいたしたのですよ。舅はそうもなかったのですが、姑がよほど事えにくい人でして、実は私の前に、嫁に来た婦人があったのですが、半歳足らずの間に、逃げて帰ったということで、亡くなッた人をこう申すのははしたないようですが、気あらな、押し強い、弁も達者で、まあ俗に背かを打って咽をしむるなど申しますが、ちょっとそんな人でした。私も十分辛抱をしたつもりですが、それでも時々は辛抱しきれないで、屏風の陰で泣いて、赤い目を見てしかられてまた泣いて、亡くなった母を思い出すのもたびたびでした。

そうするうちに維新の騒ぎになりました。江戸じゅうはまるで鍋のなかのようでしてね。良人も父も弟もみんな彰義隊で上野にいます、それに舅が大病で、私は懐妊というのでしょう。ほんとに気は気でなかったのでした。

それから上野は落ちます、良人は宇都宮からだんだん函館までまいり、父は行くえがわからなくなり、弟は上野で討死をいたして、その家族も失踪ってしまいますし、舅もとうとう病死をしましてね、そのなかでわたくしは産をいたしますし、何が何やらもう夢のようで、それから家禄はなくなる、家財はとられますし