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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《山彦乙女(やまびこおとめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 126,360 字 · 251 頁
小橋甚兵衛は役人であった。役人というものは、由来そのことがおのれの利益とならない限り、できるだけ責任を回避する習性がある。なかんずく強権に対しては。……杉戸口から覗いていた主馬は、今や小橋与力の腰が折れるのを認めた。
「これはいけない、押切られてしまう」
彼は平四郎を見た。
「どうしよう、私はあのみじん流に顔を知られている、私ではまずいんだが、あの関守は降参しますよ」
「私が出てみようか」
「ぜひひとつ、ぜひどうか」主馬は手早くなにかを渡した、「遠国鉄炮改役、仙石丹波守殿の符札です」
平四郎は受取って、ふところへ入れながら、対問所の縁側へ出ていった。
主馬は手をこすった。長いことつきあっているが、平四郎の性質はまだよくわからない、少なくとも安倍半之助ほどには、――しかし今こそわかるだろう、どれだけの胆力と才知をもっているか。主馬はもういちど、手をこすり合せた。
対問所の沓脱までおりた平四郎は、そこにいる同心の一人に、耳うちをした。
「鉄炮に火繩をかけろ」
こう云ったのである。
むろん誰にも聞えなかった。耳うちをされた同心は、すぐその担当者に伝えたが、平四郎は次高来太に呼びかけていた。