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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

すると花和尚が、即座に、相槌を打って言った。

「おはからいか! なるほど、ここへ来る前にも、誰かが同じことをいっていた。――では、今日ご馳走の酒も、おはからいによるものとして、存分、遠慮なくいただくとしよう。諸子! ひとつご乾杯を」

彼の音頭に、どっと笑い声が揚がり、満堂一せいに杯をあげ合った。

かくも錚々たる顔ぶれがふえたので、水滸の寨は、いよいよその陣容の充実をみせてきた。――旌旗もこれまでの物では不足し――三歳、九曜、二十八宿の旗、飛熊ノ旗、飛豹ノ旗をも新たに作らせ――山の四面には、狼火台まで築かれてきた。

泊内での、農耕はもとよりのこと。酪農から酒の醸造も今ではここで事を欠かない。老幼は養蚕をして糸を紡ぎ、漆林では漆も採る。――器用者の侯健は、やき物の窯場も設けて、陶器を焼きはじめ、武器の工廠では、連環の馬鎧からカギ鎗、葉鉄の鎧、またあらゆる兵具を、日夜さかんに作っていた。

こんな或る日のことである。

「宋先生――。ひとつ、折入って、ご相談があるんですが」

と、花和尚の改まったことばに、宋江もまたふと、その眼をニッとほそめた。

「ほ。折入ってとは、何事ですか」