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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁
「それは」
「次室に見えまする、あの轎の内。失礼ながら、てまえには役儀上のことながら、ちょっと、そのお轎の内のお人へ直接、ものを申したい」
さっきから、じろと、そっちを眼の隅から睨んでいた奉行の賀は、さすが一トかどの者だった。いうやいな、席を蹴って、ばっとそっちへ歩きかけた。
けれど、これは彼みずから敵に絶好な、断刀一閃のいい弾みを与えたものでしかない。
鍵番の吏、すなわち徐寧は、かくし持っていた一刀の抜く手も見せず、賀の首を、斬りおとした。――それっと、これが全活動の合図となって、雲台観中、たちどころに修羅と変り、衣冠式服をかなぐり捨てた梁山泊の男たちの、跳梁の場となった。
この夕、華陰県の城中からも、火の手があがった。――総門にひそんでいた武松の一手が、賀を送って来た供の人数を囮にして、城中へまぎれ入り、一方、城下に待機していた解珍、解宝、楊雄、林冲、石秀のともがらと一致して、全城を乗っ取ってしまったもの。――また、もちろん、獄中にあった史進と花和尚の身は、炎の下から救出された。
けれど、ここにあわれをとどめたのは、絵師の娘玉嬌枝である。彼女はどうしても見あたらなかった。