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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

そいつが仲間を殖やしたんだから、こいつは一つの天変地異だぜ」

この年。

梁山泊では、もひとつ一大快事を仕果たして、凱歌をあげた。

なにかといえば、それは春も半ばの頃、かねてから遺恨鬱々と時をうかがっていた曾頭市の豪族、曾一門を討って亡き前の総統晁蓋の無念ばらしをしたことだった。

その曾頭市は曾一家の勢力で私領化され、ほとんど全市一大要塞をなし、武術師範の史文恭をかしらに、曾塗、蘇定、曾密、曾索、曾魁などの一族でかためられ、じつに苦戦は苦戦だったが、しかし初めに、

「ひとつ、てまえに働かせてみて下さい。山へ来てから、まだいちども、これという働きもせずにいるこの盧俊儀に――」

と先陣の苦闘をあえて自分から買って出た彼の努力に、その帰結は大いに負うところが多かったのだ。

で、曾一族のことごとくを殺し、また、生け捕った史文恭はこれを山寨にひきあげてから斬に処した。そして一同して首と生肝とを亡き晁総統の祭壇にそなえた。

そのさい泊中のおもなる頭目は、みな喪服をつけて居ならび、宋江は、聖手書生の蕭譲に命じて書かせた“晁蓋の霊を弔う”の祭文を壇にむかって読んだ。