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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

「あらまあ、だんな、どうなすったんでございますよ。ちか頃は」

「や、閻婆か。なアに、どうもせんさ、役署が忙しいだけのことでね」

「いけませんよ、だんな。てんで、この頃はお見かぎりで……。娘が可哀そうじゃござんせんか」

「でも、達者なんだろ」

「あれ、あんな水くさいこと仰っしゃッてさ。憎いわねえ、いったい、どこの奴が、水を差したんだろう。……さ、とにかくだんな、今夜はお連れせずにいませんよ」

「おい、離せよ、人が見るではないか」

「じゃあ来てくださるでしょうね。道でお会いしたのに、お連れもしなかったなんて聞かせれば、娘は泣いて、わたしに食いつくかもしれません。いいえ、毒でも飲みかねないから」

「おどかすなよ、婆」

「この婆だって。……だ、だんなさまに、これきり見放されたら、ど、どういたしましょう……」

「おや、泣くのかい。往来中で見ッともない。行くよ、行くよ」

宋江は負けた。

閻婆の老舌とソラ涙に負けただけでなく、この君子人にも、おのれに負ける一面があったといえる。微酔以上なそぞろ心地も手助っていたことだし、稀れには、彼女がどんな愛相を見せるかと、ふと見たい気もしたものにちがいない。