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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁

青空文庫

そのうえ十碗あまりも酒を飲ませて帰したので、王四もすっかりごきげんになってしまった。

ひょろり、ひょろり、山路を千鳥足で降りてくると、日頃、顔見知りの山賊の手下に出会った。

「……よウ、大将」と王四が抱えこむと、その男も酔っていて、

「やあ、王サマか」と、ヒゲ面をこすってきた。そして漁樵問答ならぬベロンベロン問答の果てである。頭と頭とを絡み合った四本の脚が、またぞろ、麓の居酒屋へよろけ込んだ。

――だいぶ飲んだに違いない。

その晩、相手の男と別れてから、王四は途中の芒原で寝てしまった。事これだけなら、その一睡は無上天国そのものだった。ところが折ふし通りかかった猟人がある。これなん兎捕りの李吉で、さきに陳達を手引きして史進を襲わせたのもこの男だ。そのことでは思うつぼも外れてしまい、以来、村人からは白眼視されていたが、もともと狐狸以上な狡さを持つ李吉だった。今も今とて、蹴つまずいたとたんに、

「おやおや、こいつあ、史進の家の王四だぞ。はてな?」

酒臭い正体なしの体へ寄って、親切ごかしに胴巻を撫で探っていた。すると銀子と手紙が手に触れたらしい。李吉は狐のような眼をくばった。