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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新・水滸伝(しん・すいこでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 頁
由来、お寺の“逢曳き”というものは、妙に秘かな春炎と妖情を増すものだった。釈迦の経、華厳の呪、真言の秘密。それと本能が闘って燃える。かつまた、世間離れした反逆の快いときめきなども手伝うものか。
客堂では、まず蘭を浮かした茗煎(茶)一ぷく。
ほどなく設けの施餓鬼堂に入り、一同、神妙な回向の座につく。看経二タ刻、巧雲は、御本尊の地蔵菩薩までが、いつかしら裴如海の色白な顔に見えてきて、るると乱れる香煙の糸も妖しく、心は故人の願解きどころか、わが生身の願結びで、うつつはなかった。
やっと、やがて終って――。
「さあ、どうぞ奥院で、ご休息を」
と、一僧にいわれたときのありがたさ。潘の爺さんも、やれやれと腰をのばして、廻廊づたい、奥の小座敷へひき移った。
ここでは、精進料理のお斎がある。轎かきの者、お供の迎児までが、別室でご相伴の振舞いにあずかり、潘の爺さんは、持参の銀子や織物などを差出して、
「ほんの、軽少ですが」
と、寄進におよぶ。
「まアまあ、そのようなお堅いことは」と、如海は収めながらも、すぐ一方で「どうぞ、今日はごゆるり遊ばして。さ、いかがです、おじいさん、もう一杯」