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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
その会見が、どういう内容を結んだかは「人、その故を知らず」である。いわゆる秘中の秘とされていた。
ともあれ信雄は満悦して清洲へ帰った。匹夫がほくほくした時のような体であった。が、小心な彼はその姿にまで、終始うしろめたいような蔭を持っていた。秀吉の眼を極度に憚っていたものらしい。
時に、その一月十八日前後、秀吉はどこで何していたかというに。――彼は、腹心わずか十数騎を連れ、安土から湖北へ繞って、江越国境の山地を忍びで歩いていた。
すでに柴田の先手を打ち、滝川討伐の檄を諸州へ発し終り、あれから直ちに長浜へ赴き、そこで軽装を調えて、北境の山岳地方へ廻ったものだった。
視察はこれで二回目である。年暮のうち長浜を収め大垣を攻めたあの振旅の帰途にも、秀吉はひそかに賤ヶ嶽から柳ヶ瀬をあるいて京へ帰った。その目的が、柴田勝家とやがての決戦を期す必然な大戦場の実地踏査にあったのはいうまでもなかろう。
「天神山というか。あれにも一塁を。そこ、かしこの山にも急いで砦を築きおけやい」
数日にわたって、雪なお深い山村、渓谷、高地などを歩き巡りながら、秀吉は、杖にしていた竹のさきで、折々、要地を指しては、こう指図して歩いた。