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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

元々からの部下ではない。――勝家が利家に接する今の気持はすべてがこれに根柢をなしている。

佐々成政もそうであるが、前田利家もまた、そもそもは、信長の命によって、勝家の麾下に配属されて来た一軍団であった。――で、過去五ヵ年にわたる北陸攻略では、当然、勝家は利家を指揮下の一部将と見なし、利家は勝家を、北陸探題の総大将と仰いでは来たものの、さて今日、その信長が死去してみると、この関係は、このままあり得るものか否か。大きな疑問である。いや不安であるといったほうが、より勝家の感情に近いであろう。

殊には、故信長も、於犬於犬と呼んで、犬千代のむかしから、織田の人材中でも、一器量として、愛重措かなかったほどの人物である。――

勝家が、その上の宿老たり総司令であったという重さも、帰するところ、信長という主体あってのことで、それなくして、単に、武門の一将と一将、人間と人間という対比に返って接してみると、これは以前とだいぶ感じがちがって来ないわけにはゆかない。

前田又左衛門利家という人間の重さは、やはり信長なればこそ、於犬於犬と、軽々持てたものであって、柴田修理勝家では、にわかに何かずんとするものを抱えた気持だし、始終、持っていることを意識にしなければ持っていられないものだった。