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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
由来この地方は、牢固たる門徒勢力が錯綜していて、家康も手をやき、信長さえも散々手こずった難治の地である。――先に信長の死去に際し、上州引揚げの帰途には、北条勢に阻まれて、為に清洲会議にも出遅れるというまずさを見せたが――一益ほどな男が、いつもそんなまずさをやる者とは思えない。よくこの地方を治めて来たという一事だけでも、彼が尋常一様な凡物でないことは証し得て余りがある。まして麾下百錬の精鋭はなお“滝川衆”の名を持して誇る剛強揃いでもあるにおいては。
秀吉は、この敵を前に、決して軽視していない。
桑名へ迫るに先だって、鈴鹿郡川崎村の峰ノ城へ、一部兵力を抑えに残し、神戸、白子などの民屋を焼き立てて、途々小邀撃してくる敵を鎧袖一触の勢いで圧しながら、やがて矢田に陣した。
土岐多良越えの一軍も、大君ヶ畑越えの一軍も、共に、桑名攻囲の部署についた。
一益の予想に反して、秀吉は各地の小城出城には右顧左眄なく、敵の中巣へ向って、全主力を傾倒し来ったのである。
――が、布陣終ると、
「構えて敵を粗相に見、城壁の下へ詰め寄るな」
と、戒めた。
臆病なほどの令である。しかし、秀吉は敵の火器を重視していた。