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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

「ひとつ、さっぱりと、啀み合いはやめてもらえぬか。利家の顔にも免じて。――いや利家ごときは問題でないが、先君の御遺志はまだ中道にある。早くも、遺臣仲間の同床異夢は見ッともない。一切はそれひとつでも和解し得るはずと思う。いわんや其許には、先頃、叙位任官のありがたい恩命にも浴された折ではないか。この上、御軫念を悩まし奉るは、余りに畏れ多くはないかの」

秀吉はひとみを正した。利家の終りの一言によってである。利家はそれを猛烈な反駁の出る準備かと覚悟した。不和の主因が、勝家よりも秀吉の方により多くあるかの如き云い方を承知の上でしていたからである。

「いや、真にそうだ、その通りだ」

案外、秀吉は、幾度も大きくうなずいた。決して、軽々しくではない。歎息して云った。

「筑前に落度はない。故に、云い条を立てれば、山ほどあるが、御辺のようにいわれてみると、ちと、筑前のやり過ぎはあったようだ。いや大いにあったな。悪かった。その点、筑前が悪い。……前田殿、まかせる。あつこうてくれい」

和談は立ちどころに成った。

余りに秀吉があっさりしているので使者たちが却って懸念を抱いたほどである。