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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁

青空文庫

秀吉は、一番着の使いの飛札を陣外の馬上で受取り、手綱を挟んで、鞍の上でそれを読むと、

「大儀」

と、使いへ云ったのみで、何の表情も示さず、陣小屋へ入った。

「由己、茶を一ぷく」

と所望し、飲みおわる頃、第二報をうけた。

三番飛脚は、堀秀政からの者で、秀政の書中によって、善戦した中川瀬兵衛の討死や、高山右近の抛棄による岩崎山の失陥など、やや詳密なことが明らかになった。

これらの早馬は、時間にしても、わずか半刻(一時間)ほどを前後していたに過ぎなかった。

秀吉は、帷中の床几に移っていた。誰彼と、幕僚を呼びあつめ、

「秀長から今、かく飛札して来たが――」

と、淡々と一同へ打明けていた。そこへ堀秀政の詳報が着き、諸将の眉色も凡ならぬものを現わしたが、秀吉もまた、瀬兵衛戦死の報に接しては、

「……惜しいことを」

一瞬、瞑目していた。

その容子が、諸将の面に、さっと凄気をながした。その唇々から、

「大岩山の瀬兵衛には、早や斬り死いたしたるか」

と、期せずして沈痛な問いが出た。そして、この危機を如何に処すかを、秀吉の面から読もうとするもののように皆、一点に凝視をあつめた。