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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
味方の、この醜い混乱ぶりを見ては、勝家も、憮然たるばかりでなく、
「あさましき奴輩かな」
と、切歯して、忿怒の余勢を、あたりの幕将たちへも、吐かずにいられない容子だった。
「いつまで、あの躁がしさは、どうしたことか、組頭どもへ、勝家が命を、慥と伝えたのか」
浅見対馬守や国府尉右衛門なども、先刻から、座に居たり起って行ったり、少しの落着きもない。そして、御命令は再三きびしく伝えておりますが――と口を濁して答えると、勝家は、
「何、うろたえて」
と、左右をたしなめ、
「――取り鎮めて来い。あの様子では、部署にもつかず、蜚語雑言を猥りにして、味方が味方を惑わしておるにちがいない。左様な者あらば、厳科に処してかまわぬ」
叱咤に、叱咤をかさねていた。
吉田弥惣、太田内蔵助、松村友十郎などが、再度、厳令触れに、駈け出してゆく。その後でも、何か、勝家の声高な罵りが聞えていた。――躁ぐな、狼狽するな、と抑えるつもりでいう彼自身の声からして、狐塚本陣の、騒然たる狂躁のひとつだったのである。
――はや夜明けも近かった。
賤ヶ嶽方面から、余吾西岸へ移りつつある銃声や喊声は、水を渡って手にとるようにわかる。